小説「竜馬がゆく」 -2




単行本としては、1963年に発刊が始まり1966年までに全5巻が、文藝春秋より刊行されました。
その後、文春文庫全8巻も刊行されました。
どちらも今では改版されたものになっています。

この、単行本にして全5巻という長編の歴史小説は、司馬遼太郎さんの代表作の一つとなっています。
長年にわたって多くの方に読まれ続けており、中には、「青春の書」にとどまらず、愛読書として幾度となく読み返されている方も少なくないと思います。
また、今までに何度もテレビドラマ化されたこともあり、世間一般において共通のイメージとして描かれる龍馬像は、この作品によって作られたとも言われています。
この作品が龍馬像を確立したとされる逸話として残っているものに、坂本龍馬の誕生日があります。
当初、坂本龍馬の誕生日には諸説がありましたが、この小説において「11月15日」が使用されたため、その後、「11月15日」が龍馬の誕生日として確立したのだそうです。

司馬遼太郎さんが、この龍馬伝を執筆することになったきっかけは、産経新聞時代の後輩に当たる、元産経新聞社常務の故・渡辺司郎氏に、出身地である高知県の偉人、坂本龍馬のことを書いて欲しいを依頼されたことだそうです。
当初はあまり乗り気でなかった司馬さんも、資料を調べていくうちに、面白さを感じ始め、執筆に至ったのだそうです。

この龍馬伝小説、「竜馬がゆく」は、坂本龍馬を「龍馬」ではなく、「竜馬」となっています。
この書籍の影響で、「竜馬」なのか「龍馬」なのかを迷われるという方も少なくないのではないでしょうか。
司馬遼太郎さんが、「龍馬」を「竜馬」とされたことには、理由があるのです。

まず、多くの方がイメージされる龍馬の人物像、「竜馬がゆく」のなかで描かれている龍馬像のイメージを要約してみます。
『「幼い頃は泣き虫で落ちこぼれであった彼が、成長するとともに身体が大きくなり、剣術に秀で、向かうところ敵なしとなる。
髷を結わずに、ブーツを好み、「わしはフリーじゃ。」といい、豪快に笑う。
男気があり、女性にも好感をもたれ、モテていた。
そして、その行動力で世界を動かし、それとともに数々の名言を残す。』

司馬遼太郎さんは、自分の描く、こうした龍馬の人物像をフィクションとするために、あえて「竜馬」と表記したのだそうです。

「竜馬がゆく」が書かれた時代は、日本は高度経済成長期でした。
司馬遼太郎さんの描かれた坂本龍馬の姿は、多くの人々が上を向いている時代のヒーローとしての龍馬像であり、龍馬伝であったとも言えます。
しかしながら今は、100年に一度とも言われる不況が長引く時代であり、現代にあうヒーローとしての龍馬像や龍馬伝も必要なってきているとも言えます。

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